[サックス]低音が出ない!原因と対処法・練習法

サックスを始めて間もない頃、多くの方が最初に直面する課題が「低音域が思うように出ない」ということではないでしょうか。

特に、中音域の「レ」より下の音、つまり「ド」や「シ」、「シ♭」といった低い音を出そうとすると、音がひっくり返って高い音になってしまったり、思い通りに発音できなかったりすることがあります。こうした悩みは、独学で練習されている方や楽器を始めたばかりの方にとって、非常に大きな壁となります。

しかし、低音が出ない理由を紐解いていくと、大きく分けて「楽器の状態」と「奏法(吹き方)」の2つの原因に集約されます。今回はそれらを改善するための具体的なポイントを整理してお伝えします。

解決までのステップ

❶ 楽器の「隙間」がないか確認する

❷ アゴの力みが無いようアンブシュアを確認する

❸ 口の中を広く保ちゆるやかな息を入れる

❹ 小さな息から力まずに出す練習をする

ステップに沿ってひとつひとつ確認する事で、どんな原因でつまづいているのかがわかるようになり、対処法がはっきりします。

講師 すずき

正しいステップを踏む事で誰でもきれいな低音が出せるようになりますよ

1. 楽器に「隙間」はありませんか

サックスの構造上、低音を出すためにはすべてのキイが隙間なく閉じ、管体が完全に密閉されている必要があります。特に低音域は、管の端まで息を届ける必要があるため、途中のタンポ(パッド)がわずかでも浮いていると、音が正常に鳴りません。

  • キイへの接触の確認 : 左手のパームキイ(高音用のキイ)などに無意識に手が触れ、わずかに隙間が開いていないか確認してください。
  • 確実なフィンガリング : 低音の「ド」や「シ」を操作するテーブルキイを、最後まで確実に押し込めているかが重要です。特に「シ」「シ♭」はしっかりキイが押し切れていないと隙間が開きやすく、裏返ってしまいやすいです
  • 調整の状態の確認 : 楽器の調整状態が悪くキイバランスが崩れていると、右手の「ファ」「ミ」「レ」などのキイに、微小な隙間が生じている場合があります。

楽器に原因があるか判断するには、いつもより意識的にキイを強く押さえて吹いてみてください。あるいは、誰かにキイを上から軽く押さえてもらった状態で吹いてみるのも有効です。これで音が出るのであれば、楽器の調整が必要な状態と言えます。
楽器の調整は、トラブルがなくても1年に一回は依頼し、点検をしてもらうようにしましょう。

2. 唇のクッションでリードを支えましょう

低音域の発音において、顎(あご)の力みは大きな妨げとなります。サックスは、高音域ではリードを速く振動させ、低音域では緩やかに、大きく振動させることで音を出す楽器です。

低い音を出そうとして力んでしまい、顎でリードを強く締め付けてしまうと、リードの振動幅が制限されます。これにより、リードが速く振動せざるを得なくなり、結果として音が裏返ってしまうのです。

  • アンブシュアの形: 口を「う」の形にすることを意識してください。「う」と口をしっかり窄めた時に下唇が硬くなる部分でリードを支えます。
  • アゴの力みを無くす: 下顎の力で噛むのではなく、下唇をクッションのように使い、リードに対して柔軟に接することで、低音に必要な緩やかな振動を引き出すことができます。演奏中に息が漏れないように唇の「う」の力でしっかりとマウスピースを締めるイメージです。

💭 ワンポイントアドバイス 鏡を見て、口の形が「う」になっているか確認しましょう。唇に少し力を入れ、指で下唇を軽く押した時に押し返せるくらいの弾力が目安です。顎の力ではなく、この「唇のクッション」で支える感覚を大切にしてください。

3. 口の中を広く保ち、ゆったりした息を

低音が出ないもう一つの理由は、楽器に送り込む息のスピードが速すぎることです。息のスピードが速いとリードが細かく振動してしまい、意図せず高い音が鳴ってしまいます。

息のスピードを適切にコントロールするためには、口腔内(口の中)の容積を広げることが不可欠です。

  • 空間の確保: 口の中が狭いと息のスピードが上がってしまいますが、空間を広く保つことで、息は太くゆったりとした流れに変わります。
  • 具体的なイメージ: 低い声を出す時や、あくびをする時のように喉の奥を広げる感覚を持ちましょう。また、寒い時に手を温めるような「ほー」という息の形を意識することも効果的です。

💭 ワンポイントアドバイス 口の中の舌の位置を根本に押し下げるようにすると、口の中のスペースを自然と広く取れるようになりますよ。

4. 小さな息から段階的に音を出す練習

低い音を鳴らそうとするあまり、最初から勢いよく息を吹き込んでしまうと、反射的に顎に力が入りやすくなります。これを防ぐために、まずは非常にゆっくりとした息から発音を試みてください。

喉をリラックスさせ、口の中を広く保ちます。

「ほー」という静かな息を楽器に送り込みます。

そこから、音が鳴り始めるポイントまで、ゆっくりと息の量を増やしていきます。

このように、小さな空気の流れから徐々に音へと変化させていくことで、無理な力みを取り除き、低音を安定して出すための感覚が養われます。

💭 ワンポイントアドバイス 「低いド」を出したいのに「真ん中のド」になってしまう場合は、息が速すぎるサインです。改めて喉を広げ、ゆったりとした息の流れを意識して、静かに吹き始めてみてください。

まとめ

低音域を安定させるためには、以下のポイントを一つずつ確認することが必要です。

STEP
キイの密閉

指の当たり方を見直し、隙間が生じていないか確認すること。

STEP
アンブシュア

顎の力を抜き、「う」の形による唇のクッションで支えること。

STEP
ゆるやかな息

あくびや「ほー」のイメージで口の中や喉を広げ、息のスピードを抑えること。

STEP
発音の手順

強い息で鳴らそうとせず、静かな息から徐々に発音へ導くこと。

講師 すずき

サックスの低音域は、技術的なコツを掴むまでに多少の時間を要するかもしれません。しかし、音が裏返ってしまう理由を論理的に理解し、動作を丁寧に見直していけば、必ず解決の糸口が見つかります。

ご自身の演奏に変化が感じられない時こそ、楽器の状態を疑ってみたり、口の中の空間を意識してみたりしてください。1年に1度は専門の技術者に楽器の調整を依頼することも、良い状態を保つためには重要です。日々の積み重ねを大切に、サックスの持つ深い響きを追求していきましょう。

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この記事を書いた人

サックス講師歴18年。「脱!棒吹き」をテーマに、メロディの歌い方を分かりやすくお伝えしています。主にポピュラー楽曲の演奏を中心に初心者からプロまで幅広い方達を指導中。

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